Tetsuo Kobori

Architects

Works

Kitchen Table for Shared Dining

Kitchen Table for Shared Dining
  • Location : Tokyo
  • Year : 2019
  • Category : Furniture
  • Photo : Kenta Hasegawa / Tetsuo Kobori Architects

同志社女子大学の日下菜穂子先生が中心となり、様々な企業や専門領域の人々が取り組む「シェアダイニングの構想」。この構想は、高齢者の孤立が大きな社会問題となっている今、「食」の行動を通じて人がつながり、喜びを共感し合えるコミュニティ、食空間(シェアダイニング)の創出を目指したプロジェクトである。小堀哲夫建築設計事務所は空間・家具領域の専門家として参加し、インターオフィスと協業してキッチンテーブルをデザインした。

シェアダイニングの場のあり方を考え、「距離感」「方向性」「居場所」の多様性をつくることをテーマとした。「タングラム」と呼ばれるパズルから発想を得たテーブルのデザインは、4~5人で使える大きな台形や小さな三角形など、形も大きさもさまざまで、組み合わせると五角形や正方形の平面形状となる。多様な形や大きさ、組み合わせにより、使い手同士にさまざまな距離感、視線も微妙なズレが生まれる。使い手は、その時の気分や作業内容によって居場所を選べ、心地よく過ごせるようにした。

モックアップを製作しながら、体格やアクティビティに合わせて天板の高さを変えられ、平面的な移動・レイアウト変更も容易であり、シンクやIHコンロ、ゴミ箱など、現実的に求められる機能をデザインに落とし込んでいった。収納・パッキング・運搬についても容易にしている。

構造は、2枚の板(天板と底板)で、X型の支柱を挟むという極めてシンプルなものである。X脚は上下の板に設けられた溝に嵌めることで安定し、角度を変えれば高さを調整することができる。脚を外せば各部材がバラバラになり、コンパクトに収納、移送も容易。天板にはシンクやIHコンロが設けており、シンクは必要に応じて天板とフラットにすることもできる。底板の上は、給水設備やゴミ箱、収納スペースとして利用できる。機能や構造を素直にデザインに落とし込むことで、直感的に操作可能な佇まいを目指した。平面的、断面的にエッジをできるだけ丸くし、身体的に優しいデザインに仕上げている。
シェアダイニング クロストーク 小堀哲夫×日下菜穂子
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