NAGAREYAMA おおたかの森 GARDENS アゼリアテラス

NAGAREYAMA OTAKANOMORI GARDENS AZALEA TERRACE

環境と接続する「ゆらぎ」

流山おおたかの森駅周辺の開発事業の一環として計画された、オフィスを主体とした複合施設である。流山は子育て世代が多いことから、商業、クリニック、保育所等を併設し、地域コミュニティの基盤となるとともに、周辺施設との回遊性を強化する施設となることが求められた。

私たちは、これらさまざまな機能が同居し、また将来変化していく可能性があるテナントの「雑居性」を許容する、新しいユニバーサルスペースをつくることを考えた。一方で、単に均質なユニバーサルスペースをつくるのではなく、わずかに「ゆらぎ」のある室内環境をつくり出せないかと考えた。各階のバルコニーの平面形状を少しずつずらすことで、ある階にはテラスが併設され、ある階では室内から緑を感じることができる。また、軒の出の違いによって、日の入り方や眺望など、わずかな違いを生んでいる。三方の外周部は、住宅用のアルミ引き戸とし、必要に応じて、自然の風を取り込むこともできる。少しずつずらすことで積層されたバルコニーは、流山の豊かな自然環境との接続点にもなっており、本施設で働く人びとが、それぞれに合った環境を選べるような、わずかな「ゆらぎ」を生み出している。さらに、ブレースの機能を併せ持った斜めに伸びる柱は、各階の地震時の水平荷重の大きさに応じて、低層部から高層部に向かって徐々に垂直に近づいていく形状となっているが、この斜め柱によっても、ファサードに「ゆらぎ」を生み出している。これらの「ゆらぎ」の重なりによって、デザインとしての統一感をつくりだしている。

街並みに対しては、歩道に向かって庇を張り出し、親近感の湧くスケール感と、駅の低層部のファサードとの親和性を持たせ、歩行者の回遊性・周辺施設との繋がりにも寄与することを試みた。おおたかの森を望むことができるパブリックな屋上庭園は、緑のランドマークとして、駅前広場との一体感をつくり出すとともに、駅前の賑わいから少し距離を置いた、施設を使う人びと・地域の人びとにとっての落ち着ける居場所となっている。都心では単一で大型の再開発が続く一方、郊外ならではの特徴である「働く」と「住む」の近接や、使い方に応じたスケールの多様性、変化するプログラムの「雑居性」によって、常にゆらぎながら多様なムラが生まれるユニバーサルスペースを目指した。

Location

Nagareyama-shi, Chiba

Year

2021

Category

Retail and Office Complex

Structure

Steel Frame

Area

10,171㎡

Design

Tetsuo Kobori Architects (Basic Planning, Basic Design and Design Supervision), The Zenitaka Corporation (Execution Design)

Construction

The Zenitaka Corporation

Photograph

Tomoyuki Kusunose